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季刊フリーペーパー 「おもやい」 発行について

 北海道にも遅い桜前線が到達し、山々の残雪を背景に薄紅の花が春を告げています。
 しかし、私はいつもの春とは違う割り切れなさを抱えています。

 3月11日の震災発生以降、多くの日本人が悲しみにくれていたことと思います。
 人智を超えた自然の脅威をまざまざと見せつけられました。
 その一方で、人が引き起こしてしまった原発事故という最悪の災害は未だ収束の見通しすら立っていません。
 放射能汚染により故郷を追われる人が大勢います。
 豊かな土地と恵みの海は汚れ、すぐには元に戻らないでしょう。
 何故、このようなことになってしまったのでしょうか。

 企業の怠慢、官僚の慢心、産官学の癒着、政府の迷走…
 たくさんの汚いものが見え隠れしています。
 それらは厳しく批判するべき対象です。

 ですが、それらを今まで放置して、電力会社のPRに流されてきた自分にも責任がある、と思います。
 家族で普通に生 活できればいいと思っていましたが、普通に生活するためには、普通に生活しているだけでは足りないのだと考えるようになりました。
 役人やCMの喧伝するままにエネルギーを消費し、何についても反対の意思を表明せずにいると、いずれ被害者になり加害者になる。
 原発大国日本で生きるとはそういうことなのだろう、と思います。

 私は、現在と未来の土と水と空気をこれ以上汚さないため、自分にできることをしようと思います。
 約2ヶ月間のテレビ・新聞報道や様々な情報に触れ、痛感したことがあります。
 それは、「偏った情報は恐ろしい」ということです。

 例えば、「1年に20ミリシーベルトまで被曝量の限度を上げても健康に影響はない」という見解が急にまかり通るようになりました。
 しかし、これは1000人に5.7人が癌または遺伝的影響を起こすとされる数値です。
 そのことは明示されないまま、学校が再開しました。
 当然、子供の方が被曝のリスクが高く、1000人に8.7人が何らかの害を被るだろうことが懸念されます。
(参考:中部大学 武田邦彦
 政府やテレビの言うことを信用していては子供を守ることもできないのが現状なのだろうと思います。

 様々な情報を調べ、共有していくこと。
 その上で、それぞれの生活について考えていくこと。
 その一助となるような活動をしたいので、フリーペーパーを作ってみようと思います。

 「おもやい」とは、水俣の友人に教えてもらった言葉です。
 “分け合うこと、共有すること”を意味します。
 無味乾燥な「配分」ではなく、“大切な人と大切な物を仲良く分け合う”という気持ちが含まれているのだそうです。
 元々は「舫(もやい)」から来ているようです。
 船と船をつなぎ合わせる舫綱(もやいづな)の舫です。

 水俣病の公式発見から50年。
 水俣は日本で一番ゴミの分別が徹底した市です。
 環境を汚すことが生命を汚すことに直結することを一番よく知っているからかもしれません。
 福島に学ぶべき事はたくさんあります。
 それは水俣に学ぶべき事と重なります。

 「おもやい」は、仲間と共有したいな、と思う情報を集め、いつもおしゃべりするよりは少し多い仲間に向けて発信していく、 楽しい読み物にしたいと考えています。
 人と人とのつながりが、庶民の闘いの手段です。
2011.5.15 鷲頭 環