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福島の子どもたちの甲状腺がん多発…「事故との因果関係は考えにくい」?

 2015年11月、福島県県民健康調査委員会で、福島県の子どもたちの甲状腺がんの最新の状況が明らかになった。
 甲状腺がん悪性または疑いと診断された子どもたちの数は、1巡目2巡目合わせて152。
 2014年から始まった2巡目検査で甲状腺がんまたは疑いとされた子どもたちは39人。
 この中には、1巡目の検査で、問題なしとされた子どもたち37人が含まれている。

  【甲状腺がん疑い・確定の内訳】〈福島県県民健康調査委員会(2015年8月・11月)資料より〉
対象者数
受診者数
甲状腺がん
又は疑い
手術後確定 備考
一巡目検査
(2011~2013)
対象367,685人
受診300,476人
(受診率81.7%)
114 101 手術待ち13人
二巡目検査
(2014~2015)
対象379,952人
受診199,772人
(受診率52.6%)
39 15/td> 39人のうち、前回A判定(問題なし)は37人
合計 153
(うち1人良性)
116

 現在、福島の子どもたちの甲状腺がんの率は、約30万人中100人以上で、国立がんセンターの統計データ(100万人に5人)の数十倍レベル。
 「スクリーニング効果(一斉に検査を行うことにより、通常よりも前倒しで発見される効果。国際的な研究ではスクリーニング効果は最大8倍とされる)」を考慮しても、明らかに「多発」であると公的な委員会も認めざるを得なかった。
 さらに、手術を受けた子どもたちのうち96人の症例について、リンパ節転移、甲状腺外浸潤、遠隔転移などのいずれかに該当する深刻な症例が92%にのぼることが明らかになった。
 疫学の専門家で岡山大教授の津田敏秀氏は、今年10月に公表した論文で、福島での小児甲状腺がんの発生率について地区ごとの分析を行った結果、全国の小児甲状腺がんの罹患率と比べ、20~50倍の多発であると指摘している。
 福島の現状は、事故後1~3年後のチェルノブイリよりもさらに多発であり、今後さらに増加する可能性があると警告を発し、今から準備をするよう訴えている。
 これらを受けてなお政府は「事故との因果関係は考えにくい」とし、新たな対策をとろうとしない。
 「リスク・コミュニケーション」と称し、「被ばくは大したことはない」という安全キャンペーンを展開している。
 その成果もあってか、二巡目の検査は受診率が大幅に低下している。
 検査を受けていない約半数の子どもたちの健康が気にかかる。
 放射能汚染との付き合いは今後数十年~数百年に及ぶものだろう。
 福島県や甲状腺疾患のみに限定しない、広く総合的な健診が行われることを望む。
 また、政府は2017年3月で自主避難者への住宅支援を打ち切る方針を示した。
 強制避難区域が解除になることで、新たな「自主避難者」が増えることにもなるだろう。
 「自主避難者」という言葉は「自己責任」という言葉に似ている。
 個人に責任を押しつけて、国は責任をとらなくてすむ、為政者にとって便利な言葉である。
 しかし、人々が避難せざるをえない状況をつくった、過酷な原発事故の責任は国や東京電力にある。
 この責任は厳しく追及されるべきであり、国は何をおいても被害者の救済・支援に尽力するべきなのではないだろうか。